静岡県西部遠江三十三観音霊場保存会の公式ホームページです

気まぐれな巡礼案内⑧´

投稿日:2017/04/26 カテゴリー:瀧生山 永寳寺内慈眼寺

2番 常楽寺の続きです。

堂内に祀られています薬師如来立像(写真)の右手の印相のことが気になっています。如来形で左手に薬壺を持っていますので薬師如来に違いはないと思いますが、一般に知られています印相は施妙印(掌を外側に向け、五指を伸ばし薬指を少し前に出し、その指の先で薬を塗る形)ですが、ここの仏像は右手の無明指(薬指)を大指(親指)で捻じています。通常これは「説法印」と云われる印です。「薬師琉璃光七佛本願功徳経」に①善名称吉祥王如来 ②寳月智厳光音自在王如来 ➂金色寳光妙行成就如来 ④無憂最勝吉祥如来 ⑤法海雷音如来 ⑥法海勝慧遊戯神通如来 ⑦薬師琉璃光如来 の七佛の本願を説いています。⑦の薬師琉璃光如来の6分身と見るか、別尊と見るかは両説ある所ですが、この七佛薬師の中に三体「説法印」の如来がいらしゃいます。同じ印として釈迦如来は法身説法を示す「智吉祥印」ですし、阿弥陀如来は下品下生をあらわす印になります。 なぜこのお姿でこのお堂に祀られているのか、何か理由があると思うのですが。七佛薬師は主に天台系で修されることが伝えられています、としますと両部の大日如来・薬師等から古くは密教系寺院だったかもしれません。解かる方がいらっしゃいましたらお教えいただきたいです。
また、初めて見たのですが 石仏の庚申佛です(写真) 普段見かける庚申佛(青面金剛童子)とは異なり、僧形の庚申佛です。手には三股叉・法輪・弓・矢・剣・ショケラ?を持ち、三猿が彫られていますし、持ち物は青面金剛同様で姿のみ僧形です。庚申信仰の初期には阿弥陀如来や地蔵菩薩を庚申佛として祀られた例は聞いたことがありますが、この像も何か特別の意味を持っているのでしょうか。どこの札所を訪れても謎と宿題を頂いたようです・・・。お参りの節には是非参拝してください。

 
〇御詠歌

是や此の 常に楽しむ 寺なれば 稔りの船に 棹やさすらん

山本石峰氏は「般若の船に棹さして、涅槃の岸に到らば、転迷開悟の道開けて、常楽我浄は受け合いだ。この船に乗り遅れると地獄の谷だぞ。」と解説しています。

2017・4/26公開